「離島とつながる学びのカタチ──教育旅行事業R6年度の成果と課題」
はじめに
2023年度(令和6年度)に実施された「本島⇔離島」交流型教育旅行事業は、地域資源を活用した学びの深化と、離島とのつながりを育む試みとして、多くの成果をあげました。本記事では、事業全体の成果・課題・今後の改善点を総括します。
1. 本島 → 離島:子どもたちの「地域理解」と「気づき」
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参加実績:24校・46クラス・児童1,214名が11の離島・地域を訪問。
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主な成果:
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各離島で人材確保・育成を強化し、無理のない受け入れ体制を構築。
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若手ガイドやコーディネーターの育成が進み、世代交代の兆しも。
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体験にストーリー性をもたせた派遣が児童や教諭から好評。
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課題と改善点:
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民泊・体験ガイドの人材不足が継続。
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コロナ後の体験プログラムの質のばらつきに対応が必要。
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2. 離島 → 離島:自分の島を見つめ直すきっかけに
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対象:南大東小、多良間小の計25名が石垣島を訪問。
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成果:
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自島への誇りや他離島との違いへの理解が深まった。
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特別支援児童の顕著な成長が見られた。
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教諭自身の学び・関与度が児童の変化を支えた。
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課題と改善点:
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小規模校では授業時数の確保が困難。
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教諭の負担軽減と、年間スケジュールの丁寧な共有が必要。
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3. 離島 → 本島:初の試みで見えた可能性
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対象:久米島・大岳小の13名が沖縄本島で体験。
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成果:
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AIを活用した作文や発表体験を通じ、発信力や自信が向上。
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保護者や教諭から「変化を感じた」との声多数。
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課題と改善点:
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初実施ゆえの過密スケジュールが一部で課題に。
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今後はゆとりある行程設計と教諭支援の強化が必要。
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4. オンライン離島体験:ハイブリッド型の可能性
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実施実績:10地域で28回実施、のべ1,315名が参加。
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成果:
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新規プログラム開発に加え、既存プログラムの質も向上。
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派遣の事前・事後学習と組み合わせて効果を高めた。
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課題と改善点:
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ナビゲーター確保や日程調整の難しさが依然として課題。
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映像記録や好事例の共有による参加者増加が鍵。
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おわりに
教育旅行を通じた地域との出会いは、児童の「気づき」や「誇り」を育むと同時に、離島の次世代人材育成や地域活性にも寄与しています。来年度以降も継続的な改善と連携によって、より豊かな学びと交流の機会を広げていくことが期待されます。