カルティベイトな日々

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07 11月

感想:「いちむぬんうはなし会 ー 生物多様性座談会」 に参加して

Posted in 講演, 生物多様性座談会 in沖縄 on 07.11.11

この座談会は、環境省が生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)における”愛知目標”の採択を受け、生物多様性の保全や持続可能な利用に向け先進的な取組をされている方々からの意見交換を目的として行われました。沖縄を含め全国8カ所で予定されているそうです。

生物多様性座談会と銘打っていることから、生物や環境保全についての意見が多数を占めるかと思っていましたが、今回意見された内容のほとんどは「人」についてでした。生物多様性の保全、利用で重要なのはその対象となる地域に住む人であり、その方々の考え抜きにして生物の環境問題は語れないことを如実に表しているように感じました。

さて、私は途中からの参加となってしまいましたが、講演者それぞれのお話をまとめてみたいと思います。

  • 川満 栄長(竹富町長) 『竹富町における取組みについて』
    地元住民挙げて、環境保全と観光産業に打ち込んでいるということでした。環境保全における「人」の重要性を強調されていました。住民挙げての町おこしによって産業が発展し始め、若者達が外へ出て行かなくて済むようになったそうです。さらに、町内に戻ってくる人も増え、人口が増加しているとのことでした。また、古くから伝わる祭などを挙げ、住民が土地を愛していることを強調されていました。人が土地を愛することでその自然を顧みるようになる、基本的ながらも非常に重要なやり方だと思いました。
  • 山川 安雄(NPO法人国頭ツーリズム協会・代表理事)『やんばるにおける取組みについて』
    やんばるにおいて野生生物を守るための取り組みや、山原での教育活動等を紹介されていました。やんばるでの野生生物に関する問題の1つに交通事故があります。これまでの努力にも関わらず交通事故は増加の一途をたどっているとのこと。そこで、今後は新しい試みを積極的に導入していきたいとのことでした。ただ注意したいのが、交通事故増加と聞くと車の運転マナーが悪くなったせいかと思いますが、そうではありません。保護によって動物の数が大幅に増加し、大国林道近辺の植生が回復してきたことが事故増加の理由に挙げられます。事故は非常に悲しい事ですが、その理由はやんばるが環境破壊される前の状態に戻りつつあるという喜ばしいことなのです。従って、これから車の運転手は、“林道を走る”のではなく“ジャングルに立ち入る”という意識を持たないといけないでしょうし、今回紹介されていた新しい試みが非常に重要になっていくと感じました。
  • 高 美喜男(NPO法人奄美野鳥の会・副会長) 『奄美地域における取組みについて』
    奄美大島での野鳥調査のお話しでした。これまで、研究者が調査してきた野鳥の生息数を、市民で取り組んでいるそうです。まずは鳴き声や位置特定方法の勉強会から始まり、実際の調査が行われるのですが、やはり一般市民の調査ということで信用度にかなり気を遣っているとのことでした。こういった専門的な調査に参加することで市民の自然に対する意識が高まり、それが参加者を増加させているようでした。
  • 開 梨香(株式会社カルティベイト・代表取締役社長) 『沖縄県内における取組みについて
    いよいよ我が社長の登壇です。社長自身が「門外漢の私ですが」と申したように、登壇者の中では唯一生物について触れない内容でしたが、先述したとおり皆さんの視点は“人”に向いており、座談会には非常に大切な内容になったのではないかと思います。私達が楽しむ各地の風景には、周囲の生き物たちに影響された生活観や自然観に基づく個々の美意識があり、それは他と比較することでより明白になることを、日本各地の「景色いけ」の比較を例に紹介しました。また、「日本で最も美しい村」連合に選ばれた多良間を例に、人の文化に基づく景観保全を紹介しました。日本各地がそれぞれの素晴らしい独特な自然を持っていますが、他の環境を見ることで自分たちの持つ環境の素晴らしい点をより明白に認識できるでしょう。そうした環境を自分たちの文化と並行して利用することで保存につなげていくのは、非常に自然な感覚で進められるように感じました。

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人が自然を見ることがなければ保護に関心を持つことはありません。今回紹介されたように他の地方の魅力を感じ自分のふるさとを顧みることができ、様々な視点からの自然保護や専門的な調査などを通した自然とのふれあいが増えることで、生物多様性の維持が大きく進展するのかも知れない、そう感じました。